シェイク!Vol.6 どうしたら作れる、面白い企画
伊藤隆行(テレビ東京プロデューサー)
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米光一成(ライター)
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佐藤ねじ(アートディレクター)
シェイク!Vol.6 「どうしたら作れる、面白い企画」のトークセッションの模様3回目は、普段どんな発想で企画を思いつくのか、三者三様の発想方法が明らかに!
教えて! 発想のコツ!
先に僕から言うと、企画を書くときは、自分をリアクターとして考えます。ある現象を見て面白いと思ったことをなんとなくでも良いので気に留めておくようにしています。
例えば、『モヤモヤさまぁ~ず』とは全然違う番組をやっていたら女の子のADがお酒を飲んで終電がなくなったので中野から阿佐ヶ谷まで酒場放浪記みたいに見かけたお店で一品と一杯を頼んで次の店に行くというのをやったと聴きました。それを聴いて「これはいいな」と思ったんですね。知らない店を発見して「美味しかったです」と言っているのは面白いなと思って、それで「一駅区間を歩く番組を作れないかな」と思って生まれたのが『モヤモヤさまぁ~ず』なんです。
そういうこともあって、他の人から聴いて自分が体験したら面白いと思うことを「きっと自分だけがそう思っているんだ」と信じてそのままストレートに出すようにしています。いまは一周回ってむしろ自分が面白いと思ったことをストレートにやったほうが人気になる。歳をとればとるほど色々考えちゃうので。ストレートに出すことを心がけています。
違和感があることでも、「なんでそうなんだろう?」と掘り下げて増幅していって自分でも面白がれるようにすることがヒントになる。他の人にとっても違和感があったものが「実は嫌じゃなくて好きかもしれない」ことに気づけるかもしれない。違和感を楽しめるようになる感覚を伝えられると多くの人が楽しんでくれるものになると思うんです。
言葉をわーーーっと書き出すんです。このとき線で言葉を結ばないようにしています。線で結んじゃうと関連性のあるものばかりが可視化されるから、そこ以外の結びつきが分からなくなっちゃう。とにかく書き出すだけ書き出して一見、結べないようなものを結んだほうが絶対面白いと思うんです。
ねじさんの『超ノート術 成果を10倍にするメモの書き方』で面白かったのが、アイデアをどうくっつければ面白くなるのかを書いた「接着点」の話です。よく「AとBをくっつけると新しいアイデアが出る」というけど、くっつけてもつまらないアイデアはいっぱいあるじゃないですか。面白くなるくっつけ方を語っているのは面白かったですね。
例えば、アイデアグッズを考えるウェブサイトを作っていたときがあったんですが、その中に「舞踏会」というティーカップのアイデアがありました。どういうものかというとティーカップの持ち手に踊っている人達がいるというものです。電子レンジの中にティーカップを入れると電子レンジの皿の上でティーカップが回るので本当に踊っているように見えるんです。
この企画のポイントの一個は、まず見た目上の面白さです。そこに、電子レンジが回ることをモチーフにする新しさ。さらに、コーヒーカップじゃなくてティーカップの方が舞踏会と相性が良いですよね。そうすることで必然性が生まれる。「なんで思いつかなかったんだろう?」っていう雰囲気を出せるんです。ひらめきだけじゃなくて、そこに必然性を求めるというのが「接着点」の考え方です。
逆に人妻温泉みたいなことを考えられる、センスだけでいける人は僕の中で天才肌だと思っています(笑)
昔のテレビを思い出すとテレビは非日常だったじゃないですか。でもいまは日常を背負ってきてしまっています。ドリフとかアイドルとか昔は非日常だったんですよ。いまはありえないものが無くなっちゃった。衝撃映像とか面白いから見ちゃうんですけど何も残らないですよね。ナレーションとか見せ方とか多少意識はしているみたいですけど衝撃映像は衝撃映像です。
だからこそ、テレビ自体も逆行していくべきかな、と思いまして、もともとテレビの中にあった非日常ってなんだろうなと考えるようになりました。ちょっとありえないような現象を作ったり、コントが短くなるような状況だったら逆にものすごく長くしたりとかそういうことですね。
例えば、日曜日の『世界の果てまでイッテQ』と『真田丸』の裏って視聴率が全然取れないんですよ。特に日テレさんの場合は『笑点』からずっと同じチャンネルの人が5人に1人くらいいるので裏で面白いことやっても気づかれないんです。そこで悩んでいて、いま考えているのが昔テレビ東京でもやっていた肝っ玉母ちゃんみたいな家族モノがもう一回できるんじゃないかと思っています。
もっと具体的に言うと、東京に来た人で「とりあえず実家に帰ろう」「結婚しよう」と言って夢を諦めるひとって今でもいっぱいいるじゃないですか。だから、「ただいま母ちゃん」という帰郷をテーマの企画にしたんです。「そんなの古いよ。誰も見ないよ」と言われるかもしれないけど、逆に僕らの世代には受け入れられるんですよね。日本に来た外国の方が祖国に帰るということもあるでしょうし、「現在の帰郷」ってどういうことなのかってことを映像として切り取ってみたくなった。そうすると他人の人生の覗き見になるので視聴者は日常では見られないものが見られます。テレビ業界的にはベタな企画ですけどね。
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第1回:
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第2回:
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第3回:教えて! 発想のコツ!
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第4回:
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第5回: